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経理の業務一覧リスト|業務の分類と、日ごと月ごとのスケジュールを解説

経理の業務一覧リスト|業務の分類と、日ごと月ごとのスケジュールを解説

企業経営において必須となるのが経理業務です。しかし、経理の実務経験や、簿記・会計の勉強をした経験がない限り、業務内容についてイメージしにくい面もあります。

「経理とは日々どのような業務を行っているのか」「年間の忙しい時期はいつなのか」といった疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、経理業務について、スケジュールの内容も含めて詳しく解説します。また、近年注目を集めているAI、RPAによる自動化の波に関してもあわせて触れていますので、ぜひ参考にしてください。

目次

経理業務の役割|どのような人が向いているか

経理部の役割とは、企業における日々のお金の動きを可視化して正確に管理して社外に報告することです。具体的な業務内容としては、

  • 日々の売上や仕入管理
  • 従業員の給与と保険の管理
  • 税金の計算
  • 決算書の作成

などです

経理の仕事に向いているのは、

  • 数字の入力や計算などにコツコツと取り組める人
  • データを収集して分析するのが得意な人
  • 計画を立て、それに沿って物事を進めるのが得意な人

です。

細かいことに気を配れる几帳面な人に向いている仕事といえます。また、近年注目を集めているRPA(Robotic Process Automation)に関する知見や、各種財務計算ツールを使いこなせる人は、経理の労働市場でもニーズが高いです。

RPA(Robotic Process Automation)とは何かの説明画像

なお、「経理」は決算や税務申告などの業務も含めて使われるのに対して、「経理事務」は日常的な伝票入力や書類整理などを担う事務作業員を指します。また、「財務」とは経営計画に従って予算の作成、資金調達、資金管理などを行う作業のことで、「これから使うお金の管理」を意味します。「経理」は「すでに使ったお金の管理」を行うことなので、その点に経理と財務の違いがあります。そして「会計」とは、「経理」が作成した帳簿や決算書を元に、企業全体の経営状況を数値的に可視化できる資料を作成し、報告することです。そのため「経理」は「会計」の一部と言えます。

経理の業務一覧

経理の業務のイメージ

経理の業務は、大きく分けて「日常業務」「月次業務」「年次業務」の3種類に分けられます。以下で一覧化してご紹介しましょう。

経理の日常業務|スケジュール表

経理で日々発生する業務としては、以下の業務があります。1日の間に行うため、業務が発生次第、順次行います。

現金の出納管理 現金の残高確認
立替経費の精算 営業部門などの従業員が立て替えた経費の精算業務や仮払伝票の起票と整理(取引に関する伝票を起票して、証拠書類と合わせて整理)※月次で対応する企業もあります。
受注・出荷・売上を集計 受注額、出荷額、売上額を会計システムにてデータ化
棚卸資産の管理 棚卸資産(販売目的で一時保有している製品や原材料など)の受け入れ処理や在庫確認
取引先の登録 新規の取引があったときに取引先を会計システム等に登録。信用情報の調査も実施

経理の月次業務|スケジュール表

経理が毎月行う業務は以下の通りです。

上旬 取引先からの入金確認、帳簿の締め切りおよび月次決算、売掛金・買掛金の管理、予算と実績を対比して分析、年度決算の見込み分析など
中旬 源泉所得税納付(10日)
下旬 従業員の給与計算およびその支給、取引先への支払い、請求書の発行、従業員の社会保険料の納付

経理の年次業務|スケジュール表

経理の大まかな年間スケジュールは以下の通りです。なお、3月決算の株式会社を想定しています。

4月 決算整理仕訳、軽自動車税納付、固定資産税・都市計画税第1期分納税
5月 開示資料の作成財務諸表作成、法人税・法人住民税・法人事業税・消費税の確定申告および納税、自動車税納付、株主総会の招集
6月 株主総会、個人住民税納付
7月 源泉所得税(納期特例を受けている場合)の納付、固定資産税・都市計画税第2期分納税、健康保険・厚生年金保険の定時決定
8月 消費税の中間申告および納付(大規模事業者が対象)
11月 法人税・法人住民税・法人事業税・消費税の中間申告
12月 年末調整、固定資産税・都市計画税第3期分納税
1月 固定資産税における償却資産の申告、源泉所得税の納付、法定調書・給与支払報告書・支払調書を税務署に提出
2月 決算準備、固定資産税・都市計画税第4期分納税、消費税の四半期中間申告と納付
3月 販売目的資産(棚卸資産)の実地棚卸現物点検と残高確認

経理業務で自動化させられるのはどれ?

経理業務を自動化するイメージ

経理業務は定型的な作業・事務が多いため、「RPA(Robotic Process Automation)」などの業務自動化ツールと相性がよいです。特に、以下の業務において自動化が進むと考えられています。

・仕訳入力
自動仕訳機能がついたRPAの場合、ネットバンキングやクレジットカード、クラウドサービスを通して取り込んだ仕訳情報を、自動で勘定科目ごとに分類できます。
ただし、RPAを導入しても仕訳ルールの設定は経理職が行う必要があります。たとえば、新規に発生した顧客については、どのように今後仕訳していくのかのルール作りが必要ですが、この策定には人的作業が必須です。
・請求書発行業務
RPAの導入により、請求書作成業務はほとんど自動で行うことが可能です。
請求書を取引先に郵送する物理的な業務を自動化することはできませんが、請求書をメールに添付して送付する、請求書をプリントアウトするなどの業務はRPAで自動化できます。
・入金消込
売掛金の入金を確認できた際に債権残高を消していく入金消込の作業も、現在RPAツールの開発が進んでいて、今後自動化の可能性はあるかもしれません。しかし、入金消込は経理業務の中でも非常に煩雑で、入金パターンや請求パターンの複雑さから業務を自動化するには、かなり難易度が高いと考えられます。特に、入金消込に関するルールの策定については、人的作業で行う必要があり、入金と請求の照合には100%の正確性を求められます。
・経費精算処理
経費の精算についても、経費精算システムを導入することで自動化が可能です。自動化による恩恵が大きいため、もっともシステム開発が進んでいる分野となっています。

上記のRPA、関連ツールに関する知識・技術があれば、今後労働市場において需要が高まると予想され、経理として年収を上げやすくなるでしょう。また、今後の”AIによる失業”にも対応しやすくなります。

今の経理、これからの経理に必要なものとは

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野村総合研究所が2015年に発表したレポート*では、将来的にAIやロボット等による代替可能性が高い100種の職業が挙げられていますが、その中には「経理事務員」が含まれています。この点を踏まえると、日々単調な日常業務や月次業務などをこなしているだけの経理事務員は、将来的に職を失う恐れもあるでしょう。

しかしその一方で、経理部門には自動化できない業務もあります。AI、RPAによって自動化されるのは定型業務の一部だけで、イレギュラーな業務については、人の介在・判断が不可欠です。将来的に経理職のエキスパートとして仕事を続けるには、自動化されない、人にしかできない非単純作業に関わるスキルを身につけていくことが大事です。

与信調査

与信調査とは、取引相手の企業に対して、支払能力の有無など財務的な信用度に関する情報調査を行うことです。与信調査には大きく分けて、決算書の情報などを元にする定量分析と、数値では測定できない情報を元にする定性的分析の2種類があります。定量分析については自動化による対応も可能ですが、定性的分析については調査を行う経理職の経験・スキルも重要です。

特に中小企業の場合、決算書が公開されていないため、その入手が難しいケースが多いです。その場合、企業のホームページ、口コミなどインターネットで収集できる定性的情報も参考にできます。情報内容を確認する担当者によって審査内容が変わらないように、事前に一定の基準を設定することも大切です。こうしたルール作りもまた、経理職による人的作業が必要となってきます。

与信限度額の設定

与信限度額とは、取引先に対してどの程度の売上を出せるのかの上限額のことです。取引実績がない新規の顧客に対して、最初から大型の取引をしてしまうと、代金が回収できないリスクが高まります。無理な取引をすると、取引先が突然支払い不能で倒産する恐れもあるため、慎重な与信限度額の設定が必要です。

この場合も取引先の状況を定期的にチェックしつつ、適切な与信限度額の設定を行うことが経理職に求められます。しかし、一度設定すればそれでよいというわけではなく、自社と取引先の状況や、市場環境の変化を踏まえて、設定を再調整することが経理職には求められます。

債権管理

債権管理とは、売掛金の管理業務を指します。債権管理で重要となるのは、売掛金を所定の期日までに回収することです。そのため、事前に取引先が代金を支払える状態にあるのかをチェックすることや、売掛金の回収予定を一覧化した債権管理表を作成することが重要となります。

与信管理は売掛金の回収リスクを回避するために行う業務ですが、区分としては債権管理のカテゴリーの中に与信管理が含まれます。

債権の回収が進まなくなると、スムーズな資金繰りを行えません。結果的に、売上・利益が出ているにもかかわらず、債権の回収が行えなかったために黒字倒産する恐れもあります。企業にとって、経理が担う債権管理は企業の存続に関わるほど重要なのです。

*野村総合研究所:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に
~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~

与信限度額の考え方

与信限度額が会社ごとに異なるイメージ

与信限度額の基本的な設定方法は「たとえ代金を回収できなかった場合でも、自社が耐えられるかどうか」を基準として行われ、具体的に以下の3つの考え方があります。

・自社の純資産を基準とする
債権回収できなくても耐えられる範囲を、純資産を基準として考える方法です。一般的には、純資産の1割程度までが許容範囲とされます。

・自社の売上債権を基準とする
売上債権とは売掛金・受取手形など代金を受け取ることのできる権利のことです。この基準では、「取引先から売上債権が回収できなくても、資金繰りに問題が生じない許容範囲」を元に与信限度額が設定されます。

・取引先の仕入債務を基準とする
自社の債権割合が大きくなり過ぎないように調整することです。自社の債権額が一方的に大きくなると、取引先は債務超過となり状況によっては倒産のリスクさえ生じるため、そうならない水準で与信限度額を設定します。

まとめ

経理部の役割とは、企業における日々のお金の動きを可視化して正確に管理することにあり、その業務は日常業務、月次業務、年次業務に分けられます。ただし、AI、RPAの導入により自動化される業務が将来的に増えるとも予測されているため、経理職は生き残りをかけて、自動化が難しいイレギュラーな定性業務に関する実績・スキルを身につけることが大事です。

経理職が果たす今後も重要な実績やスキルの1つに債権管理・与信管理があり、自社が黒字倒産のリスクを負わないためにも、高度な管理能力が求められます。また、もう一つのスキルとして、システムを使いこなすスキルも求められるようになってくると思います。

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