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【イベントレポート】経理実務者が語る ~サブスク事業で煩雑化する経理業務とその対策とは~

【イベントレポート】経理実務者が語る ~サブスク事業で煩雑化する経理業務とその対策とは~

サブスクというキーワードがスタンダードになりつつある今、サブスクリプションビジネスにおけるバックオフィス・経理業務の大変さや煩雑さ、それを解消するためにはどうしたらいいのかなどを論点としてディスカッションしました。
 
今回は「経理実務者が語る サブスク事業で煩雑化する経理業務 その対策とは」というテーマでアルプ株式会社と共催で行ったセミナーのレポートです。

 

目次

登壇者紹介

アルプ株式会社
ドメインエキスパート
塩田 堅人 氏

2009年に大手私鉄シェアードサービス会社に入社。親会社を含む複数社で経理業務に従事。19年にSaaSのスタートアップ企業へ入社。経理業務・請求業務・業務設計等に従事し21年に上場。22年にアルプに入社し、現在はドメインエキスパートとして開発業務を担当。

株式会社アール・アンド・エー・シー
パートナー推進部部長
ITコーディネータ
鴨下 徹

大手基幹業務パッケージメーカーに新卒入社。東京、東海地区、北陸地区に所在するパートナー企業の担当営業として従事した後、20年にアール・アンド・エー・シーへ入社。現在はパートナー推進グループのマネージャーとして、アライアンス提案、セミナー企画・講演、勉強会講師、商談支援などを精力的にこなす。

1.サブスク事業の経理業務はなぜ大変なのか

鴨下:サブスクというとアルプさんや我々アール・アンド・エー・シーのようにITツールとしてのサブスク提供のほかにも、食品関係のサービスや子どもの靴など、身近なところに様々な商品が提供されていると思います。このようなサブスク事業を展開されている会社さんとお話をすると、「経理業務って大変ですよね」という声をよくお聞きします。
 
塩田氏:最初に前提なのですが、いままでの売り切り型ビジネスとサブスクビジネスでは、バックオフィスの業務フローがどういう変わり方をしているのかを簡単にお話したいと思います。


 

塩田氏:売り切り型のビジネスモデルでも、案件やサービスが受注となった後に請求金額の計算、請求書の発行、送付、入金回収、クレジット代行会社などへの決済入金の依頼、それと同時並行で経理の収益認識や入金消込などがあったと思います。これがサブスクビジネスになると、大きく変わる部分は常時、契約管理が必要になってくるということです。
 
業務フローで見ると、一つの受注・一つの契約から一つの請求書しか発生しませんでしたが、サブスクビジネスでは一つの契約から複数の請求が発生し、一つの契約を常に管理する必要がでてくるというのが大きな違いだと思います。
 
鴨下:利用者側は売り切り型と比べたら利便性があがりますし、提供者側は売上の収益予測を立てやすくなりますが、その反面バックオフィスは煩雑さを増してしまうということですよね。

2.請求業務の難易度が高い

塩田氏:バックオフィス課題の一つ目は、そもそも請求業務の難易度が高いことです。理由は大きく分けて二つあります。

契約開始から終了まで求められる「契約管理」

塩田氏:まず、契約管理の存在です。サブスクの契約は、一つの契約から複数の請求が生まれると最初にお話しましたが、 それは契約開始から終了まで様々なプランに変更する可能性を含んでいるからです。
 
例えば、下の図のように2022年8月にはライトプランだったけれども、9月途中からオプションを追加、10月からはプランを乗り換えしてスタンダードプランになり、料金も上がるといったイメージです。また途中から休止期間を挟むといったケース、プラン変更に伴う事務手数料の請求といったケースもあります。

塩田氏:こうした事象に対応するためには、請求のタイミングで契約の履歴を把握する必要があります。
 
この対応方法として、決算ごとにエクセルを保存する方法があります。ただ、エクセルは更新したら最新の情報しか残らないシステムなので、履歴を管理することにあまり向いていないと思っています。バックアップを常に取っておくとなるとサーバーも圧迫しますし、単純に履歴を把握するという目的においては非常に見にくいところが課題です。例えば間違えて更新してしまうと最悪の場合元に戻せないということもありますので、極めて気を使うポイントだと思います。

塩田氏:そこでおすすめしたいのが、サブスク管理に適切な契約一覧の閲覧や契約変更、履歴確認などの要件にフィットしたシステムの導入です。参考に、これは弊社が提供する「Scalebase」の契約管理の画面です。ここでは有効な契約がひと目で確認できます。また、それぞれの契約ごとのタイムラインを見ることができ、契約の履歴や過去の契約の状態を見ることも可能です。これが弊社のサービスの一押しのポイントです。私もアルプに入ってこの機能に一番感動しました。

複雑な「料金計算」

塩田氏:続いて料金計算が複雑という話です。
 
使用量をベースにした課金、アカウント数をベースにした課金、それから機能をベースにした課金(オプションなど)のようにサブスクには様々な課金形態があります。定額であればとてもシンプルなのですが、従量モデル且つ様々な課金モデルを合わせ持っているお客様だとかなり煩雑化してきます。段階型や変動従量型、ディスカウント、トライアル期間なども掛け合わせると無数のパターンが発生し、毎月の請求金額の算出に苦労することになります。

塩田氏:ここでの対応方法として、やはり、エクセル等でテンプレートを作成して自動計算する方法があります。それぞれの商品ごとにテンプレートを用意して入力することで自動で料金を計算してもらうというやり方です。
 
ただ、数式を間違えて料金をミスしてしまうことも考えられますし、エクセルに入力した後、計算結果を請求管理ツールに入れるところも二度手間になってしまうので、この過程でミスをするということも考えられると思います。

塩田氏:こちらもサブスク管理に適切なシステムの導入で解決することが可能です。「Scalebase」では、商品マスタ設定時に様々な料金ロジックを登録でき、契約に応じて金額を変更することもできます。商品マスタを活用した契約管理により、システム上で毎月の請求計算の自動算出に対応してくれます。

3.複雑な売上計上が多い

塩田氏:バックオフィスの課題としての二つ目は、複雑な売上計上が多いということです。契約管理と料金計算の壁を超えた先にある、売上計上でも課題が出てきます。

塩田氏:上図のように、初期費用を契約期間で按分して売上計上するケースや、請求期間が月中始まりだった場合に日割り計上するケース、トライアル期間を総契約期間で按分するケース、セット商材を各商品に按分するケースなどがあります。これらはサブスク特有の複雑な処理で、ミスが出やすいところです。
 
ここではまず、業務整備という観点で上記四つの例でどのような対応例が考えられるか記載してみました。

塩田氏:このような対策をあげましたが、経理の立場からここまで言及して業務プロセスを見直してもらうというのは結構難しいのではないかと思います。特に業務プロセスの見直しに対するメリットがないという判断をされる会社さんも多いと思います。
 
ただ、この問題も、適切なシステムの導入によって簡単に処理することができます。「Scalebase」では請求データから変換・仕分けのデータに自動で変換してくれるという機能があり、さらにその中で初期費用を分割してくれる仕組みもあります。

4.前受金を考慮した入金消込が複雑

鴨下:入金消込業務は請求の後工程となり、お客様からの入金に対して請求と入金を突き合わせる照合作業です。サブスク事業ならではのポイントが四つあります。

鴨下:一つ目は「様々な入金手段への対応」 、二つ目は「前受金の管理」、三つ目は「イレギュラー発生に対する消込処理の精度やスピード」、四つ目は「販売管理や会計システムとの連携」です。特に三つ目はポイントになると思います。
 
塩田氏:そこはやはり現場が大変なところですよね。イレギュラーに関するシステムの対応度というのは「V-ONEクラウド」さんはかなり高い印象でした。
 
鴨下:ありがとうございます。一つ目の「様々な入金手段への対応」に関しては、取引している金融機関や決済方法が複数ある場合は、個別にアクセスをしてそれぞれ回収されたものがどの請求のどの分なのかという確認作業の負担が考えられます。
 
このあたりは適切な仕組みを使っていただくと、複数金融機関の入金データを一括取得したり、システムへの流用をしたりすることが可能になり、経理担当者の手間を軽減することに繋がります。

鴨下:二つ目の「前受金の管理」ですが、弊社では実入金が入ってきたタイミングでカウントできるようにしています。月按分にして毎月取り崩していく形であればそこから会計計上することや、取り崩した結果での残高の推移を示すこともでき、会計上の精度もある程度担保できる仕組みをご用意しています。

鴨下:三つ目の「細かいイレギュラー」に対しては、いくつか例をあげています。請求と入金の消込作業、債権管理という観点での定例業務、経理部から営業部門や関係部門に対してのコミュニケーション業務という三つの観点がイレギュラー発生する要素だと思っています。

鴨下:こちらに関しても、適切なシステムを導入することで作業が非常に効率化されます。例えば、弊社の「V-ONEクラウド」では問題なく入金が行われたものについては、左側の小さなチェックボックスに自動的にチェックがついていきます。初めての取引先や通常と違う口座から入金されてきた場合はチェックが外れるので解消していくことになりますが、作業負担を軽減する効果が見込めます。

鴨下:また、どの取引が今回入金されてきたのかというところも入金された金額から予測することが可能です。請求額の総額と入金額の総額を照らし合わせてシステムが自動でアシストしてくれるので、個人別や部門別、合算して入金されてくるものも一画面の中で捉えることができます。
 
入金手段をある程度限定していくというやり方もありますが、回収手段に対してきちんと入金を把握できる仕組みを抑えておく環境作りがまず一つ目の大切なポイントかなと思います。そして、二つ目に前受金管理で会計への計上を意識した形での体制をつくるということ、三つ目は特にイレギュラーの入金に関して、人間で判断する所を極力減らしてITの力を駆使するということ、最後にシステムの連携の実績のあるところを選択していただくということも大事な要素だと思っています。

5.適切なシステム導入を適切なフェーズで

塩田氏:サブスク事業の経理業務が大変な理由には、そもそも請求業務が難しい、複雑な売上計上が多い、そして前受金を考慮した入金消込が煩雑という三つが考えられます。
 
Excel等を活用したり、業務整備を行ったりといったシステムを導入する以外の対策もお話しましたが、 やはり適切なシステムを導入していただくことで無理のない効率化が可能です。会社の規模が大きくなればなるほど導入のコストがかかり、現場も実際の計算作業をしながら導入を迎えることになりますので、我々としてはフェーズが大きくなる前に適切なシステムを入れていただくことをおすすめしています。
 
本文でご紹介したサービスは、以下よりサービスサイトに遷移いただけます。
 
販売管理システム「Scalebase」
債権管理・入金消込システム「V-ONEクラウド」

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