会社名 | 税理士法人アーリークロス |
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住所 | 福岡県福岡市中央区天神4丁目3-30 天神ビル新館2階 |
設立 | 2018年10月1日 |
事業概要 | 法人税務顧問サービス、経営コンサルティング、相続支援サービス、税務調査対応サービス、 事業承継コンサルティング、DX支援・業務改善サービス、他 |
企業URL | https://www.earlycross.co.jp/ |
事業拡大による顧客増を見据えた経理DXでバックオフィスを強化。ITとクラウドに強い税理士法人の事業戦略とは?
税理士法人アーリークロス 様
導入製品:V-ONEクラウド
業種:士業・事務所
課題:消込システムの新規導入 | エクセルからの脱却
税務会計から創業、IPO、事業承継や相続まで、ワンストップで対応する総合型会計事務所のアーリークロス。同社はITに強い会計事務所という特徴を活かし、従来の会計事務所としての業務以外に、ITツールを活用した経理業務の改善まで幅広く手がけています。また、日本初のマネーフォワードクラウド公認プラチナメンバーである同社は、自社での導入実績、運用経験を基にマネーフォワードと相性の良い『V-ONEクラウド』の導入も積極的に顧客に提案しています。
創業から6年目となる今もなお毎年事業拡大をしているアーリークロスは、売上請求書が500番台から3,000番台になっても、経理人員も経理担当者の負荷も増やすことなく3名で対応できているといいます。クラウドシステムを入れることで、今後のさらなる事業拡大にも耐えうる基盤を構築している同社。今回は『V-ONEクラウド』を導入いただいた経緯について伺いました。
目次
事業拡大により顧客急増で請求処理が大幅に増加!ボトルネックは、Excelのマクロを組んでも処理できない複雑な入金消込。経理人員を増やさずITツールを導入し効率化を図る
税理士法人アーリークロスを母体とするアーリークロスグループには、公認会計士事務所や社会保険労務士法人、企業ウェブサイトの制作会社、行政書士事務所、M&Aのアドバイザリーサービスを提供する会社などがあり、その高い専門性で顧客の企業経営を総合的に支援しています。
「人事、総務、経理といったグループ各社のコーポレート業務は合同会社アーリークロスグループにて横断的に担当しています。その中でも経理は、計3名で担当しています。ここ数年で顧客が急増したのですが、マンパワーには限りがあるため、あらゆることで効率化が必要になりました。」(小西氏)
新型コロナウイルスの感染拡大で人と人との接触が避けられる中、企業ではテレワークやオンラインミーティングをはじめとするITツールの導入が進みました。
「創業期からアーリークロスは “IT・クラウドに強い”という特長を打ち出していましたので、コロナ後からお客様が急増しました。コロナ前後で顧客数がおよそ2倍違うのですが、オンラインミーティングの浸透に比例してクラウドツールへの抵抗感が減ったことも後押ししたのではないかと分析しております。顧客の増加に伴って、当時40名ほどだった従業員数が、今では140名を超えています。」(松田氏)
当時、税理士法人アーリークロスではマネーフォワードクラウドの補助機能で入金消込を行い、消込ができない入金についてはスプレッドシートを営業担当に渡して確認してもらうようにしていたといいます。
『V-ONEクラウド』導入前の運用フロー
「これまではExcelでマクロを組んでインターネットバンキングのデータ照合を行うとか、消込についてかなり試行錯誤を繰り返していました。同じお客様から複数の入金があったり、会社名ではなく代表者個人から入金されたり、意外と税理士業務の入金確認作業というのは大変で、ボトルネックになっているという印象でした。当社は日本初のマネーフォワードクラウド公認プラチナメンバーでもあり、マネーフォワードさんとは懇意にさせていただいている間柄なので、その製品ラインナップの中に消込ツール(『V-ONEクラウド』)があるということは知っていました。先述のようにお客様は急増の兆しを見せていましたし、これは効率化のためにツールを導入するしかないな、と思いました。」(小西氏)
またアーリークロスは、税理士法人ならではの悩みも抱えていました。
「弊社の入金経路は3パターンあります。1つは口座振替による引き落とし。もう2つは提供サービスの内容によって2つの口座に分けて入金する流れにしております。複数の入金経路を持つことで消込業務が複雑化することはよくあるのですが、対応が難しかったのは相続案件です。案件の性質上、契約の名義人と支払口座の名義人が異なってしまったり、名字が変わっていたりと、どのお客様からのどの入金かがわからないことが多く、これらの突合には本当に時間を取られていました。」(小西氏)
このような事情から、アーリークロスでは自社で利用しているマネーフォワードクラウドに『V-ONEクラウド』を連携させる前提で導入。入金消込の自動化を図りました。
顧客の管理番号は500番台から3,000番台に!
ただし同じ経理体制でも消込業務の負荷は変わらず
「『V-ONEクラウド』はいきなりグループ全体で導入するのではなく、まず税理士法人アーリークロス1社で行い、月間約400〜500件の消込を実施しています。税理士法人の消込業務自体は、経理2名体制で実施していますが、1名はダブルチェックのみなので実質オペレーションは1名で、消込は約8時間、1日で終わります。以前は隙間時間を見つけてやっていたこともあり、当時消込にかかっていた時間がはっきりしないのですが、お客様の管理番号は500番台から3,000番台に増えています。急増している顧客と消込件数に対して作業量が急増した感覚はありませんから、消込の自動化はかなりの効率化につながっているといえるでしょう。」(松田氏)
属人化しやすい入金消込という業務を自動化できるのは効率化以上の効果があるといいます。
「今は消込件数が増えても、準備さえうまくできれば時間がかからず業務を回していける状態です。確定申告の時期や繁忙期には確実に請求件数(消込件数)が増えるのですが、毎月同じ業務量でこなしていける体制になりました。お客様の数が増えても作業時間が変わらず、口座名義が違っても消込ができるようになったのは大きな効果です。ただそれにも増して、今後誰かにこの業務を委譲できるような体制になったことがもっと大きな効果だと考えています。」(松田氏)
また、導入に際してもあまり時間はかかりませんでした。延べで4〜5カ月移行の準備を行い、切り替えは短期間で一気に行えました。
『V-ONEクラウド』導入後の運用フロー
「株式会社アール・アンド・エー・シーさんには約3カ月間導入支援をしていただいたのですが、当社担当者の交代などもあり、実質は2カ月で稼働までいけました。これは経理とITのスキルセットをもつ、経理部課長の存在も大きかったですね。言い換えれば、財務や経理、バックオフィスのDXを進める場合には、単にITに強い企業と組むのではなく、当社のようなその企業の財務内容をよく知る企業と組むのが重要だともいえますよね。また『V-ONEクラウド』を自社で使用して、この機能なら私たちのお客様に自信をもってすすめられるITツールだと確信しました。」(小西氏)
自社で『V-ONEクラウド』を導入し、その効果を実感したアーリークロス。現在は税理士法人アーリークロスへの導入のみですが、今後グループ企業への導入も検討する予定とのことです。また、自社への導入以後、マネーフォワードとあわせて『V-ONEクラウド』も積極的に顧客に紹介しています。
自社の経験も基にしたコンサルティングとバックオフィスのDX支援で総合的なサービスを提供。アーリークロスの事業戦略と九州のDX状況
創業当時から“IT・クラウドに強い”ことを打ち出している税理士法人アーリークロスは、今後どのような戦略で事業拡大を図っていくのでしょうか?
「目指すのは総合的なサービスを提供できるコンサルティングファームです。たとえば、税務顧問をきっかけにDXもやってみようかとか、財務コンサルという形で経営分析をしながら経営コンサルもやっていきましょうかとか。かたや相続がらみの資産がある方で、会社法人をもっていらっしゃるケースも多いので、代替わりのタイミングで息子さんに継がせるのであれば、経営管理についても提案するなど……。いろいろな相談からサービスを提供できるようになりたいですね。
九州では総合的、複合的にコンサルティングサービスを提供している事業者はまだまだ少ないのです。多くの税理士事務所は10名以下の規模で、地場に根付いた活動をしていらっしゃいます。そのような事務所さんから、自社ではなかなか対応が難しいので、このITコンサルの部分だけアーリークロスさんお願いしますねとか、相続がらみでも、相続の部分だけスポット的にお願いしますという形の”共創”がここ1年でとても増えています。このような共創も大事にしていきたいと思います。」(小西氏)
大阪や沖縄にも事務所はありますが、税理士法人アーリークロスの主な拠点は九州にあります。九州のDX状況はどのようになっているのでしょうか。
「当社が関わっているお客様に関して言えば、9割がバックオフィスのDXを進めています。ただし広い目で見てみるとまだまだDXの可能性を秘めた地域ばかりです。福岡の都市部では飲食店でもレジとクラウド会計システムをつないでいますが、都市部から少し離れるとアナログな紙伝票を使っている飲食店も多いです。」(松田氏)
DXに積極的な会社とそうでない会社については、経営者の危機意識に依るところが大きいのではないかと松田氏は続けます。
「去年はインボイス制度で今年は電子帳簿保存法という、税務に関わる法改正がありました。実はこれらの法令に会社としてきっちり対応しようと思うと、DXの必要性が如実に顕在化します。きっかけはインボイスや電子帳簿保存法であっても本当の課題はインボイス対応ではなく、業務を効率化してより良い経営につなげることです。世の流れを鑑みて、経営者が今の管理体制ではまずいと危機感をもつか、もたないか。ここがDXに踏み出す分かれ目になっていると思います。」(松田氏)
伴走型コンサルティングでバックオフィスのDXを支援。人が集まる会社を共創する
経営者が危機感をもちDXを推進しようとしても、次に問題となるのがバックオフィスのDXを担う人材です。アーリークロスとしては伴走型コンサルティングを行うことにより、これに対応していくといいます。
「私たちが税務顧問をしているお客様は、従業員10名未満かつ年商1億円未満の企業が9割となっています。これらの企業ではDXを進めたくても人材のリソース不足によって着手できないといった問題が多く発生します。ですから給与計算や請求書発行、経費精算業務など、さまざまな分野に最適なクラウドシステムを導入し、初期設定や運用のフォローまで行う“伴走型”のコンサルティングが必要になります。会計もわかってシステムもわかる。これがアーリークロスの強みですから、これらを武器に事業拡大を進めていこうと思います。企業のDXを推進し、業務の効率化だけにとどまらず、効率化することで得た余剰時間をさらに価値の高い仕事につなげていくことで企業の競争力を高めていく。そのようなサポートができることを目指して今後もDX支援を実施していきます。」(松田氏)
企業の経営効率や将来性を考えたときに、DXは待ったなしの状況です。税理士法人アーリークロスは「IT・クラウドに強い総合型会計事務所」という特徴を活かし、伴走型コンサルティングでこれからも顧客のDXに寄与していく計画です。
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